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『戦略級魔法少女合同』に寄稿した | 2024-03-24T19:23:15+09:00 | false |
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五ヶ月ほど前に触れていたものの、ようやく作品の提出がすべて済んだので改めて宣伝しておく。当初は短編一作の寄稿を予定していたが、様々な事情により最終的に二作の中編を書き上げた。おおむね当初の想定通りのコンセプトを維持できたと感じている。限られた可処分時間の中で応分の仕事をまっとうした自分自身を素直に褒めたい。
前述の記事に書いている通り、僕は魔法少女ものの作品をろくに観た経験がない。直撃世代なのに「まどマギ」も観ていないし、いま放送中の作品もまったく観ていない。しかし、このジャンルがやたら流行っているのはひしひしと肌身に感じている。SNS上でも身の回りでも皆さんが魔法少女について語り合っているのをよく見かけるからだ。
厳密には「魔法少女」そのものというよりは、このジャンルに集約された諸要素が多くの人々に感銘を与えているのだろう。物書きとしては、やはり創作によってそれらにアクセスする方法を探っておきたい。そうすれば将来の自作においても諸要素の核心を反映させられるかもしれない。
ありがたいことに、今回お誘い頂いた合同誌は「戦略級魔法少女」である。頭に「戦略級」とあるように、ミリタリーとの融合を目論む新ジャンルだ。当初は界隈で知る人ぞ知る的な代物なのかと捉えていたが、今でも「戦略級魔法少女」でググると真っ先に僕のブログがヒットするくらいなので本当に新しいテーマに違いない。
これのなにがありがたいのかというと、第一に一定の制約が課されているおかげで話作りの方針を固めやすかったところだ。これがもしただの「魔法少女もの」だったら学園ラブコメから異世界スローライフまでなんでもありの、事実上のオールジャンルと化してしまう。そこへいくと本合同誌の掲げるテーマは、戦争もの、軍記もの、政治劇、その他ミリタリーっぽいもの、といった方向性におのずと腰が落ち着く。
第二に、検索してもあまりヒットしないくらい真新しいテーマなら、僕のようなジャンルに知悉していない素人でも参入障壁は比較的低いと考えられる。また合同誌の性質上、本誌には魔法少女のなんたるかを知り尽くした方々が盛んに筆をとっている。この中で一作、二作ばかりが好きにやっていても変わり種として受け入れてくれるだろう。
そういうわけで、先達の胸を借りるつもりでずいぶん勝手気ままに書かせてもらった。今回の創作を通じて、このジャンルに秘められた諸要素の一片だけでもうまく発芽せしめられることを願っている。さしあたり僕の寄稿作品のあらすじを下記に掲載したので、ひとまず皆さんのお眼鏡に適いそうか見ていってほしい。
仮題「たとえ光が見えなくても」
第二次世界大戦末期のドイツ。アーリア民族の誇りを胸に、主人公たちはミュンヘンにて防空任務に就いていた。ある実験をきっかけに神秘の力を発現させた彼女らは、魔法能力行使者として連合国軍による度重なる空爆にもめげず立ち向かい続けている。しかしその折、唐突に直属の上官から東部戦線行きを命じられる。
この時、ソ連軍はすでにポーランドを越えて国境沿いにまで迫ってきていたのだ。他の魔法能力行使者が食い止めているはずだった戦線への配置転換に戸惑いつつも、またとない名誉挽回の機会を得て二人の魔法少女は果敢に東の空へと飛び立つ。神の祝福を賜りし帝国<ライヒ>が勝利の栄光に浴するのは当然の定めなのだから。
仮題「魔法少女の従軍記者」
ほんの少し先の未来。国連安保理は砂塵嵐の吹きすさぶかの地に屹立する未承認国家TOAへの実力行使を決議した。圧倒的な戦力差により趨勢は早期に決すると思われたが、そこへどの国家の管理下にもない未確認の魔法能力行使者が現れる。戦略級魔法能力行使者と目される新たな敵は国境を物理的に寸断、国連軍の航空戦力を瞬時に壊滅させて籠城の構えをとった。
戦死者の急増、高まる国際世論の批判を受け、国連も魔法能力行使者の派兵を決定する。直々に指定を受けた人物は映画の初主演を控えた注目の女優にして、若者世代を代表するインフルエンサー。そして、アメリカ合衆国で唯一の戦略級魔法能力行使者である。ありとあらゆる出来事がコンテンツ化される時代において、超人同士の戦争がその対象にならないはずがない。
この戦場では従軍記者の主人公、随伴歩兵たち、最強のアイドルたる彼女自身でさえも、各々のボディカメラ越しに描かれる一大コンテンツの舞台役者に過ぎないのである。
いかがだろうか。本誌『戦略級魔法少女合同』には小説の他にも評論、イラスト、音楽などが多数収録される予定だ。ぜひ手にとってそれぞれの世界観を体験して頂きたい。