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2023-08-21 10:07:01 +09:00

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Xiaomi Mi Watchの雑感 2021-05-10T13:41:57+09:00 false
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筋トレを始めてそろそろ2周年、ランニングはもうじき継続半年になる。後者の方はもともと肥満体型だったこともあり、開始初年度の頃は途中で膝を壊したりして思うように走れなかったが、今年に入ってからようやく肉体の性能が期待に追いついてきたと感じる。

先月下旬、僕はXiaomi Mi Watchというスマートウォッチを入手した。ランニングが板につくとやはり詳細なデータが欲しくなる。なによりGPS搭載のスマートウォッチであればスマートフォンを持たずして、実質身一つでランニングできるところが大きい。

他にも睡眠管理や通知の取得、音楽の再生コントロール、細かい部分ではタイマーや気象情報の確認など、これまでスマートフォンの各アプリに散っていた諸機能をスマートウォッチ単体に集約できるメリットもある。また、本製品はAmazon Alexaにも対応している。操作性やスクロールの追従性も引っかかり一つなく実に見事なもので、ここまでできて実売1万2000円程度なら悪い話ではない。

反面、本製品はGarminやApple Wacthとは異なり決済機能Suica、クレジットカードなどは利用できない。中国本土で販売されているバージョンはAlipayに対応しているとのことだが、いずれにせよ日本国内では宝の持ち腐れにしかならない。Androidユーザで決済機能を特に重視する人は倍額を積んでGarmin Venu SQあたりを買うとよい。

本エントリはタイトルに「雑感」とあるように、レビューと言えるほど詳細な解説は行わず、あくまで個人の感想を記すのみとする。というのも、僕自身、本製品が初めてのスマートウォッチなので、他社製品との比較を通して各機能の正確性を十分に検証できないからだ。したがって、繰り返しになるが本エントリはあくまで「雑感」に留まる。

先に結論――どんな人が買うべきか

・運動習慣のある人、またはこれから身につける予定の人
主要機能の大半が健康管理に集約されるため、そこに関心のない人が本製品を使いこなすことはやはり難しい。先に述べたとおり本製品には決済機能がなく、Apple Watchのようなブランド性もないので好奇心だけではすぐに飽きてしまうだろう。

・GPS機能を求める人
スマートウォッチとスマートバンドの最大の違いはGPSの有無にある。一部にはGPSを搭載したスマートバンドも存在するが、基本的にはGPSの搭載で差をつけているメーカーが多い。単独でGPSを搭載している製品はスマートフォンとの連携なしにフィットネス時のトラッキングが行えるので、身軽にランニングしたい人にとっては特に欠かせない機能と言える。かくいう僕もGPS目当てでわざわざスマートウォッチを選んだ。これにピンと来ない人は最近発売されたMi Smart Band 6を検討するとよい。

・時計感が欲しい人
Mi Watchの外観はスマートウォッチにしては珍しく円形に作られており、これはテキストが見切れやすいことを考えるとあまり合理的な仕様ではないが、他方、そのおかげで従来の腕時計に近い見た目を保っている。バンドをもっと上品なものと交換すればフォーマルな場でもうまく馴染むかもしれない。

各機能について

■心拍数

心拍数は上の画像の形で表示される。Mi Watchの美点は商品価格帯としては安価にも関わらず、表示部のデザイン性がGarminや他のスポーツメーカーの製品よりも洗練されているところだ。本製品を選んだ理由の一つでもある。

また、30日間の平均心拍数も確認できる。この手の数値は蓄積されてこそ意味があるので手元で把握しておけるのは嬉しい。日頃のランニングのおかげか、僕の安静時心拍数はかなり低くなっていることが判る。もっと訓練を積んだシリアスランナーの中には40台まで下がる人もいるらしい。

■エネルギー

Xiaomi Wearというスマートフォンアプリを用いれば、このように大きい画面でデータを閲覧することもできる。この「エネルギー」は主に心拍数の変動から消費を検出する仕組みになっており、睡眠やリラックス状態を検知すると徐々に回復していく。さほどあてにはしていなかったが、喉風邪をこじらせて体調不良だった一昨日下記画像は明らかに減少が早かったので、思ったよりは根拠のある数値なのかもしれない。

エネルギー残量は寝る前に毎日確認しているが、50を大きく割り込んだのはこの日が初めてだった。たかが心拍数の変動といえど意外に侮れないものだ。

■睡眠管理

睡眠管理機能は上記画像の形で睡眠の区分ごとに分布を示してくれる。「深い眠り」の割合が多ければ良質な睡眠がとれたことになり、途中で覚醒する時間が多いほど点数は下がりやすい。もちろん全体の睡眠時間も重視される。昨日はたまたますごく眠かったのでいつもより1時間近くも長く寝てしまった。おかげでスコアがずいぶん高い。たぶん本当はこれくらい寝る方が健康的なのだろう。

■ワークアウト

最大の目玉であるワークアウト機能ではランニングはもちろん、他にも100種類以上のスポーツに対応している。ランニングモードでは地図上でのトラッキング記録をはじめとする多くのデータが計測できる。

一部のデータはスマートフォンのランニングアプリでも入手可能だが、やはり心拍数のデータが得られるのは大きい。この日は病みあがりだったせいか心拍数がいつもより高く、図らずも無酸素運動を行った判定になってしまっている。こうした種々のデータから自分なりのワークアウトプランを練りあげるのも一つの楽しみだ。

追記5月12日
データの精度を検証すべく、体調が万全な日に同じペースで走ってみたところ下記の結果が得られた。

最大・平均心拍ともに10以上下回り、安定した有酸素運動が行われた様子がうかがえる。これは実際の体感的にもデータと一致する。すばらしい。
<追記ここまで>

■バッテリー持ち
Apple WatchやWear OS搭載のスマートウォッチと異なり、サードパーティのアプリケーションを考慮しない仕様の本製品は、結果として非常にバッテリー持ちに優れている。いわばハイテクなデジタル時計に等しい。公称2週間の連続稼働時間はさすがに誇張が過ぎるものの、かなりマメな使い方をしても1週間くらいは十分に持つ。Apple Watchがわずか1日ちょっとで力尽きることを考えると「機能性」の一つに数えても差し支えはないだろう。

欠点について

■やはり肌は荒れる

これまではかなりの時計マニアでも運動時や睡眠時には時計を外していたのではないかと思う。しかしスマートウォッチは時計であると同時に活動量計でもあるため、むしろこういった時にこそ装着しておかなければならない。おのずと装着時間は一日のほぼ全てに及び、外すタイミングがあるとすれば入浴時くらいになる。必然的に装着部分の肌は汗や摩擦で蒸れて少なからず肌荒れを起こしてしまう。慣れるまではそこそこの痒みがあるので、敏感肌の人はちょっと辛い思いをするかもしれない。

■高度計は現状まったくあてにならない
明らかに平坦な場所を走っているのに数メートル単位で高度の誤差が出る。登山など数百メートル単位での登り降りが起こるワークアウトではそれでも参考値として利用できる余地はあるが、少なくともランニングでは今のところ有意な数字が表れているとは言いがたい。

■Xiaomi Wearはやや未完成
Xiaomi WearはMi Watchの販売と同時期にリリースされた新しい管理アプリケーションだ。既にMi Bandシリーズで実績を積んだMi Fitとは異なり、いくつかの点で機能不足だったり動作が不安定に陥る旨の報告が寄せられている。例えば、僕の場合は時々Alexaが機能しなくなる不具合に見舞われている。Mi FitからXiaomi Wearへのデータ移行も行えないため、Mi BandからMi Watchへのステップアップを狙っているユーザにとってはいささか懸念の色濃い状況が続いている。今後のアップデートに期待。

■本体だけで音楽は聴けない
本製品で可能なのは音楽の再生コントロールのみで再生そのものはスマートフォン側に依存する。ランニング中などに音楽を聴きたい人は残念ながらスマートフォンを同時に携行するほかない。

■ディスプレイはだいぶ傷つきやすい
本製品のディスプレイ表面に用いられているガラスはスマートフォンと同じゴリラガラスなので、傷つきやすさも同程度だと考えられる。事実、ベッドの高さからフローリングの床に落としただけで小傷が入ってしまった。悲しい。

より強度に優れたサファイアガラスを採用している競合他社製品も複数あることから、僕はMi Watchの後続製品もいずれは同様の措置が図られるものと期待している。なんせゴリラガラスのモース硬度がせいぜい5くらいしかないのに対し、サファイアガラスは9もある。これに傷をつけられる鉱物はダイアモンドモース硬度10しかない。たとえ多少価格が上がるとしても、ただでさえ至るところにぶつけやすい時計の表面をほぼ完全に守れるのなら多くの消費者はそちらを選ぶはずだ。

その他

■血中酸素飽和度SpO2測定は真に受けるべきではない
本製品に限った話ではないので固有の欠点としては挙げないが、SpO2測定機能にはかなり疑問が残る。というのも、SpO2は心拍数や歩数計などとは異なり、若年者なら95%以下でも危険、90%を割り込むともはや重症者扱いという極めてシビアな指標なので、大まかな「参考値」ではほとんど役に立たないからだ。時期が時期だけに多くのメーカーがこぞって実装してはいるが、センサーの精度がより向上するまでは現状オモチャの域を出ない。

■手元のAlexaは地味に便利
HOMEボタンを長押しするとAlexaをショートカット的に起動できる。スマートスピーカーのように声で呼び出せないため微妙に使い勝手の悪さを感じるが、常に手元にあるぶん場所を選ばず小声でも認識させられる利点がある。僕は料理をしていて2個目のキッチンタイマーが欲しくなった時に使っている。

総評

総合的にはとても満足している。僕が最初にGPSスマートウォッチなるものを調べた時3年ほど前だったかと思うはいずれも3万円をゆうに越すガチガチのスポーツメーカーブランドの製品しかなかったが、今ではこれほどの製品がわずか1万円とちょっとで手に入るようになった。

医療機器ほどの精度は見込めないとはいえ、僕個人の肉体的なデータを可視化し、蓄積して閲覧できるというのは、あたかもRPGのステータス画面を得たみたいでなかなか面白い。今後もスマートウォッチは年を追うごとにますます高機能化や精度の向上が図られていくだろうから、当該分野の社会における存在意義も確実に増していくと思われる。

いやはや、気がつけばすっかりSF的な世の中だ。僕はスマートフォンの方も昨年からXiaomi製なので、僕のありとあらゆる個人情報はすっかり彼らの手の内に収まってしまったことになる。これが映画や小説ならそろそろなにか大きな問題が起きるはずだが、はてさてどうなるやら。