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title: "デスク環境改善Ⅰ"
date: 2023-12-10T21:58:19+09:00
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tags: ['diary']
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初めて家電屋で触ったいつか以来、僕の手のひらはずっと「これだ」と言い続けていた。だが、僕の視床下部あたりに居座っているやつがすかさず「でもお前ゲームするじゃん」と横槍を入れてくる。それを聞いた大脳が「確かに……ゲームするたびに入れ替えるのも面倒だし……結局マウスばかり使っちゃうだろうし……」と判断を保留する。幾度となく繰り返されたやり取りだ。
しかし時は流れる。三年が経ち、五年も経つともはや僕はゲームをしなくなっていた。視床下部にいるやつはだいぶ前から眠りこけている。無理もない。FPSゲームとかだけに使う神経って、なんとなくありそうだよな。となると、大脳が手のひらの言い分を聞き入れるのは自然な道理だった。師走にしては生暖かったある日、僕はヨドバシAkibaのトラックボールブースに居座り、脇目も振らず樹脂製の球体を愛でていた。
トラックボールを買うことがもはや決定事項と化した後も気がかりな点はいくつか残った。同じケンジントン社製のトラックボールであっても多数の商品がある。もっともよく聞くのはSlimblade Proだが、僕にとってそれが一番良いとは限らない。商品棚に並べられし赤玉の群れを古の占い師のようにさすっていくうちに、だんだん違いが見えてきた。
たとえば、通常のマウスに小ぶりな赤玉を生やした商品群は多機能でもトラックボールの可動域が狭い。親指で操作する前提ゆえに細かい動作は結局マウス頼りになる。これを万能と見るか器用貧乏と見なすかは人それぞれだろう。僕の手には後者に映った。マウスを捨てる決意を固めた者にはそぐわない選択肢だ。
また、[Expert Mouse](https://www.kensington.com/p/products/electronic-control-solutions/trackball-products/expert-mouse-wireless-trackball-1/)という別の大玉トラックボールもある。こっちにはホイールスクロールのための物理機構が別途備わっている。赤玉の水平回転を自動的にスクロールと判定する仕組みのSlimbladeと比べると一見、親切設計に思えるが、これにも物理機構の可動限界にスクロール速度が束縛される制約が存在する。さらに言えば、部品点数が増えるぶん故障率もわずかに上がると考えられる。
そこへいくとSlimbladeは振り切っている。この洗練された佇まいを実現する過程で切り捨てられた機構は相当多かったに違いない。そういう思い切りのよいミニマルな仕様が僕の心を捉えないはずがなかった。数あるトラックボール製品の中でSlimbladeに選択肢が収束するまでにさほど長い時間はかからなかった。
対して、意外に悩まされたのがSlimbladeかSlimblade Proかである。前者は有線のみ、後者は無線にも対応した新型で、価格差は2倍近い。言うまでもなく、大玉トラックボールは机上に深く根を下ろす不動のデヴァイスだ。本体を動かさない製品になぜ無線が必要なのか…… こればかりは展示ブースでは判らない。
「迷ったら高い方を買う」とは箴言だが、無線機器においては当てはまらない場合もある。接続の安定度はどうあがいても有線に敵わず、常に摩耗し続けるバッテリーを内部に秘めたそれは、無線をさして必要としないユーザにとってはかえって負の要素とも捉えられる。向こう丸一日は悩み倒した。
結論から言うと、Proの方を買った。決め手はDPIとリモート勤務だった。実は10年以上前から存続している無印はDPIが不変で400にしか設定できない。32インチ4Kディスプレイを持つ僕にはいささか厳しい条件だ。センシティビティを上げればどうにかなるかもしれないが、ボタン一発で良い塩梅に変えられるとしたら可変の方が好ましい。ProはDPI400、800、1200、1600に対応している。
リモート勤務に返り咲く夢も諦めきれない。今は鳴りを潜めていても、いつの日かなんらかの号令が下って再びリモート勤務の機運が訪れるかもしれない。日本は典型的な上意下達の社会であり、細かい理屈はどうでも上の者がやると言えば速やかに実行される。その時には、もちろん以前と同様に仕事用のマシンがあてがわれるだろう。
そんな時に有線、2.4Ghzレシーバー、Bluetoothのマルチ接続に対応したSlimblade Proがあると切り替えの手間が省ける。接続方式をそれぞれ分散させておけば側面のスイッチ一つで直ちに覚悟完了電子出勤できる。そう考えると、あまり魅力を感じていなかった無線機能もがぜん光り輝いて見えてくる。
翌日、自宅に届いたSlimblade Proを触って、僕は自分の選択に確信を得た。無線の安定性は有線と遜色なく、バッテリー寿命は公称4ヶ月。懸念していたほどの負の要素はないと言える。DPIは最終的に800で落ち着いた。公式ドライバーソフトウェアが入れられないLinux環境のため各ボタンの設定には少々手間がかかるが、操作しているうちにデフォルト設定に馴染んでしまったのでこの問題も解決された。
唯一、Bluetooth接続時に異常に短い間隔3秒以内でスリープする欠陥に見舞われた時は不本意に設定ファイルを作成させられたとはいえ、ネット上の情報を頼りにちょろっと書くだけでなんとかなったのでまあ良しとしてやる。同じ症状に陥っている人向けに設定例を下記に記す。
```zsh
$ lsusb | grep bluetooth -i
Bus 003 Device 005: ID 0411:0374 BUFFALO INC. (formerly MelCo., Inc.) Bluetooth Radio
```
まず`lsusb`でBluetoothアダプタのデバイス情報を取得する。Arch Linux環境では構築手順次第で`lsusb`が入っていない場合がなくもないので、その際は`pacman -Syu usbutils`で導入する。情報を取得したら`/etc/udev/rules.d/99-powersave.rules`などのファイル名でデバイスのルールを記述していく。
```ini
ACTION=="add", SUBSYSTEM=="usb", ATTR{idVendor}=="0411", ATTR{idProduct}=="0374", ATTR{power/autosuspend}="-1",
```
見て判る通り、`{idVendor}`と`{idProduct}`がそれぞれIDの左側と右側に符合している。保存後、再起動を行うと症状が改善される。正直、Bluetoothはいまいち信用していない規格だったが、一旦障害を乗り越えてさえしまえば割に使えるものだなと見直す気持ちになった。
ポインティングデバイスをSlimblade Proに換えて今日で二日目。すでに実家のような安心感を得ている。と、手のひらが言った。
## おまけ
![](/img/234.jpg)
これはUSBメモリではない。驚くことなかれ、れっきとした256GBの容量を持つ外付けSSDである。Linuxユーザなら誰しも緊急用のUSBメモリインストールディスクを常備しているだろうが、僕はもう一歩先に進んでメイン環境と同じArch Linuxをこの中に封入せしめた。よほど変なハードウェア構成でなければ大抵どのマシンでも即座に慣れ親しんだ環境が手に入る。