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だが、僕ときたら細い喉元から「よく分からないです」と絞り出したきり早々に力尽きてしまった。僕の能力の限界を悟ってか、もともと小学生の証言などさほどあてにしていなかったのか、お巡りさんは僕の目線の高さで微笑んで「そうか、じゃあ仕方がないな。邪魔して悪かったね」と言い残して帰っていった。
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ドアの向こうで自転車を漕ぐ音が徐々に遠のいていくと、さっきまで部屋の奥で息を潜めていた父親がぬっと顔を出した。「帰ったか」「うん」「余計なこと言ってねえだろな」「うん」簡素な応答に納得したのか父はまた引っ込んだ。寝室の衣装入れでUVライトを照らして大麻を栽培している父にとってお巡りさんは大の天敵なのだ。
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ドアの向こうで自転車を漕ぐ音が徐々に遠のいていくと、さっきまで部屋の奥で息を潜めていた父親がぬっと顔を出した。「帰ったか」「うん」「余計なこと言ってねえだろな」「うん」簡素な返答に納得したのか父はまた引っ込んだ。寝室の衣装入れでUVライトを照らして大麻を栽培している父にとってお巡りさんは大の天敵なのだ。
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ところが夏休みの半ば、ラジオ体操の義務から解放された頃に再びお巡りさんがやってきた。今度は自転車ではなくパトカーが家の前に停まったので父の慌てぶりは臨界点に達した。顔面に殴打を食らう前に「なにも言ってないよ」と弁明したものの、それすらも耳に入っていない始末だった。例によって玄関のドアを開けると、お巡りさんは両手に大きい包みを抱えながら入ってきた。
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