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Rikuoh Tsujitani 2024-04-07 22:31:27 +09:00
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title: "攻めの間食"
date: 2024-04-07T22:32:34+09:00
draft: true
tags: ['essay','food']
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それにしても腹が減る。僕は毎日ご飯のことを考えて生きている。朝ご飯を食べながら昼ご飯に食べるものを考え、昼ご飯の時は晩ご飯のことを考える。時計の長針が一周するたび、僕の胃袋の蠕動はますます激しく蠢きだす。一体、なんでこんなに腹が減るのだろう。しかし、むやみやたらに食べるわけにもいかないから基本的には我慢せざるをえない。
待ちに待った食事時。コールドスリープから目覚めたばかりかと錯覚するような切迫感を抱えつつも、なるべく時間をかけて食べ物を噛んで食べる。よく噛むのはもちろん健康のためでもあるが、そうしないとすぐに腹が減ってしまうからだ。なによりせっかくの食事をあっという間に済ませてしまうのは惜しい。
とはいうものの、実際には僕の食事のペースはかなり速い。この頃は特に速くなっている。一般的な分量の定食を食べるのに10分くらいしかかからない。ラーメン二郎を食べている時も似たりよったりの時間で食べ終わるので、よほどの猛者がいなければ同じカウンター列の中で真っ先に席を立つことが多い。
明らかに僕は飢えている。いつも腹が減っていてご飯のことばかり考えて過ごしているからがっついてしまうし、がっついて人より速く食べるから満腹中枢がいかれている。そして結果的にすぐ腹が減る。絵に描いたような悪循環だ。この負の輪廻を打ち砕かなければ僕はずっと思考リソースの一部をご飯に割り当て続けることになる。飽食の文明社会に暮らしていながら、どうして僕ばかりがそんな原始的に暮らさなければいけないんだ。
ふと、毎週月曜日の朝に欠かさず乗っている体重計の数字を見やる。体重はおおむね61kg前後を推移している。体脂肪率は15%台。20kg近い減量に成功してからすでに5年以上が経過した。運動の習慣はもはや歯磨きと同等レベルで日常に組み込まれ、今さらやめる理由はどこにもない。リバウンドのリスクは皆無と見ていいだろう。
ならば、そろそろ検討してもいいのではないか? 俗に言う、間食というやつを。長年封印し続けたあの邪悪な文明をあえて再興せしめ、秩序と引き換えに停滞した僕の肉体にほどよい刺激を与えてやるのだ。ぼちぼち空腹が満たされていれば、もっとゆとりを持って食事を楽しめるに違いない。思考リソースをより本質的な事柄に割けるに違いない。僕は叫んだ。間食あれ! すると、Amazonが「はい」と答えた。
## 無塩アーモンド&くるみ
間食を解禁したからといってコンビニスイーツとかを買っていてはしょうがない。そりゃあ、コンビニスイーツはおいしい。ほぼ全国どこにでもある店で、規格的に揃えられたスイーツがあの値段で手に入るのは現代科学の結晶と言うほかない。菓子パンも、ケーキ類も、どれもこれも実に大したものだと思う。
だが、あのパッケージの裏面を見てみよ! あのカロリーを! 誠に遺憾ながらどんなに技術が発達しても、原始の大自然を生き延びてきた人間の遺伝子を騙すほどには至っていない。所詮、人間を虜にさせるものは糖分、油、塩分。値段が安いのならなおさらそれは避けがたい。
さらにこういった代物は大抵柔らかくて食べやすい。食べやすいということはすなわち、瞬時に食べ終えられて腹に溜まりにくい特性を持つ。にも拘らずおいしいのだから、一個や二個ではたちまち物足りなくなる。それでは困る。僕はあくまで現行の肉体の秩序を守りたい。邪悪な文明に実権を委ねたくはない。
どうせ日々間食をするならついでに得をしたい。普段の食事で摂取しづらい栄養素をここで得る。逆に、なるべくなら糖分も塩分も油も控えめの方が望ましい。それでいてなおかつ、食べ飽きない程度においしくなければならない。僕の答えは、ナッツ類だった。その中でもアーモンドとくるみを選択した。
この二つはどちらも十分に噛みごたえがあって、味わいもそれぞれ違う。前述の栄養素も申し分ない。特に食物繊維の量は目を見張るほどで、僕はこれを食べはじめてから便通で悩んだ覚えがない。玄米食や麦飯が嫌な人でもナッツならそんなに嫌ではないだろう。よく噛むと感じるほのかな甘みはコーヒーにもよく合う。
しかし、ナッツ類は天然食品かつ嗜好品ゆえ値段は決して安くない。スーパーなどでちまちま買うとかえってコスパが悪いので、どうせ買うなら1kg単位で買うことをおすすめする。僕も最近知ったのだがカリフォルニア堅果の[アーモンド](https://www.amazon.co.jp/dp/B073TX2Z55/)と[くるみ](https://www.amazon.co.jp/dp/B018ICIF26)は競合製品と比べてもっとも安く、品質も非常に良かった。
## りんご
言わずと知れた青森の絶対君主。かの地が日本政府ではなく実質彼らによって統治されていることは青森県民なら誰もが知っている。医師が推奨する食べ物ランキングでも第2位の座をほしいままにしている。ちなみに1位はトマトだ。確かにトマトの栄養素はすごい。だが、腹を膨らませるのなら断然りんごに軍配が上がる。
このりんごを、僕はあえて丸かじりする。皮には食物繊維が豊富に含まれているし、丸々持っていけばかさばらない。そう、自分の座席の前でおもむろにこいつを取り出して食べるのだ。日本ではまだ見慣れない光景かもしれないが、西洋諸国ではごく当たり前である、などとと言い張ることによって欧米信仰の徒を威嚇せしめるのも忘れない。もちろん実際のところは分からない。僕は間食を邪魔されなければなんでもいい。
言うまでもなく、1個のりんごから得られる満足感は相当なものだ。だいたい午前9時頃に食べておけば昼までなんとか持ちこたえられる。やたら照度の高いオフィスの光を受けて輝くこの果実はさながら豊穣を司る神のようであり、種々の神話や伝説においてりんごが特別な地位を占めているのも大いにうなずける。青森県民が自ら主権を明け渡して彼らに仕えていることにも分を認めざるをえない。
## いか足
ところで、無塩アーモンドのカロリーは10粒あたりだいたい100kcal、りんごはサイズにもよるが150kcal前後と言われている。両者の栄養素は理想的とはいえ、気兼ねなく食べていいかと問われたら厳しい。そこで、どうしてもなにかを際限なく食べずにはいられなくなった時に備えて保険を導入しておく。いか足である。
よく知られているようにいか足のカロリーは非常に小さい。にも拘らず、味が濃くて人生の終わりまで噛んでいられそうな食べ応えがある。引き換えに栄養面については諦めてもらうほかないが、少なくとも腹持ちの良さにおいては先のカリフォルニアや青森県の主君をも上回る。
しかしながら、扱いには少々注意を要する。ロハスで先進的で洗練されたオーガニックフードの印象を持つアーモンドやらくるみやらりんごやらと異なり、いか足からは赤羽・北千住の匂いが漂う。いやいやこれは西洋諸国ではなどと見え透いた嘘をつくまでもなく、六本木・渋谷の軍勢に排撃されるのが関の山だろう。よって、職場で食べるのはさすがにおすすめできない。
## おわりに
2ヶ月で2kg太った( ・_・ )