tweet shortcodeの更新/記事の初稿完成/未完成作品の短編化開始
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Rikuoh Tsujitani 2024-03-03 15:45:33 +09:00
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@ -4,7 +4,7 @@ date: 2022-01-19T21:45:48+09:00
draft: false
tags: ["diary"]
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{{<tweet 1481395789914337281>}}
{{<twitter user="riq0h" id="1481395789914337281" >}}
つい昨年の出来事を顧みられるほど濃厚な人生は送っていない。僕が振り返るのは夢と希望に満ちあふれ、Microsoftを無駄に敵視していた13年前のあの頃だ。
@ -40,7 +40,7 @@ IRCの雑談チャンネルで出し抜けに言ったのは僕より2歳年上
コンピュータ分野ではWindows7が同年9月に発売開始された。あまりに高い推奨動作環境が災いして総スカンを食らったWindows Vistaとは事情が異なり、運良くコンピュータの性能向上が追いついたおかげでWindows7は事実上のXP SEセカンドエディションとして広く受け入れられた。どういうわけか僕の初めてのツイートもWindows7への言及である。たとえMicrosoftが嫌いでも、PCゲームを遊ぶ以上はWindowsの動向を注視せざるをえなかったのかもしれない。
{{<tweet 1115310887>}}
{{<twitter user="riq0h" id="1115310887">}}
政権交代も起こった。当時の僕の知識では理解がおぼつかなかったが、民主党政権が実施した授業料無償化には後々けっこう助けられた。製造業にかなりの打撃を与えたとされる円高放置も、僕にとっては自作マシンのパーツを輸入したり洋ゲーをドル建てで買うぶんにはむしろ好都合だったりして、政治は誰が担っても損をする人と得をする人が生まれるのだなと素朴に感じたものだ。
@ -68,4 +68,4 @@ IRCの雑談チャンネルで出し抜けに言ったのは僕より2歳年上
ひょっとするとみんなもいずれはそうなっていくのかもしれない。昔のリプライ履歴を辿るとほとんどのユーザが消滅していたり、過去ツイートを全消ししていたり、鍵垢になっていたりしている。かの先輩フレンドのアカウントもとっくの昔に残骸に成り果ててしまい、IRC文化も廃れた今となっては彼の行く末を知るすべはない。きっと彼らはその賢明な洞察力を以て、Twitterで得られる交流に見切りをつけたのだ。彼らにとって現在のTwitterとは、せいぜい公開インターネット用の人格を展示するポートフォリオサイトでしかない。
2009年。「ウェブはバカと暇人のもの」と中川淳一郎氏にディスられながらも、そこにはまだひとさじの希望と幻想が残っていた。そんな年だった。
2009年。「ウェブはバカと暇人のもの」と中川淳一郎氏にディスられながらも、そこにはまだひとさじの希望と幻想が残っていた。そんな年だった。

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@ -12,7 +12,7 @@ tags: ["politics"]
**■特徴要約:反ワクチン、自然主義**
今回の選挙で本当に議席を獲ってしまいそうな勢いを持つ政党。5万超もの党員数を誇り、全国的に候補者を擁立している。 **「ゴレンジャー」** と呼ばれる5人の著名人武田邦彦氏などを事実上の指導者とし、独特の言い回しを用いた演説を得意とする。各地の街頭演説で多数の聴衆に囲われている様子を見るに、実際にこの手法は効果を発揮しているようだ。
{{<tweet 1539727044170227712>}}
{{<twitter user="miomioamour" id="1539727044170227712">}}
たとえば、彼らの演説ではワクチンは **「お注射」**、コロナは **「流行りの病」** と言い換えられている。ワクチンの有効性やコロナの危険性を低く見積もる旨の揶揄なのだろう。事実、参政党主催の講演会の画像を確認するとマスクの着用率が際立って低い。右派政党にしては珍しく環境保護を重要政策に掲げているためか、おそらくはこういった自然主義が諸々のコロナ対策を否定する姿勢に繋がっていると考えられる。
@ -80,7 +80,7 @@ tags: ["politics"]
**■特徴要約:ごぼう**
すべてが謎に包まれた政党。公式サイトを読んでも結局なにが言いたいのかまるで解らない。Twitterで指定のハッシュタグを設けた投稿を行う **「ごぼうチャレンジ」** なる運動を実施しているが、賛同者を見ても一貫した政治信条は確認できず、せいぜいごぼうの画像が添えられる程度に留まっている。しかしその割には俳優の**山田孝之氏**や歌手の**GACKT氏**がチャレンジに参加したりなど、芸能界とのコネクションがうかがえる一面もある。なんだか不気味だ。
{{<tweet 1535426671997702145>}}
{{<twitter user="GACKT" id="1535426671997702145" >}}
現状、この政党について言えることは**マジでなにもない。** 著名な芸能人を動員できている点と **「ただシンプルに私たちの笑顔と喜びを守ることだけを考える」** との文言から、エンターテイメント産業の振興を目的とした政党と見なせなくもないが、主張を曖昧に濁すような諸派が十分な票数を得られるわけがないので、これらの選挙活動の意図は依然として不明のままだ。
@ -93,4 +93,4 @@ tags: ["politics"]
その上で投票行動を予想した場合、おそらく反ワクチンや自然主義なら参政党、レイシストなら日本第一党、反再分配や反LGBTなら幸福実現党……といった具合に投票先が固まっていくと見られる。他方、新党くにもりと新風は独自性の弱さゆえ諸派の中でも特に苦戦を強いられそうだ。
最後にうっかり流れで「ごぼう好きならごぼうの党」と書きかけたが、冷静に考えたら別にそんなことはなかった。以上、後は各自で判断されたし。
最後にうっかり流れで「ごぼう好きならごぼうの党」と書きかけたが、冷静に考えたら別にそんなことはなかった。以上、後は各自で判断されたし。

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@ -43,7 +43,7 @@ Arch Linux JPコミュニティで僕にBlueskyの招待コードをくれた
招待コード制を敷いている理由はモデレーションやサーバの負荷低減が挙げられるが、僕はもっぱら技術者か技術者肌の学生か、さもなければクリエイターにしか配っていないので前者の世話にはならない確証があった。また、後者も無限といっても招待コードが使用されなければ回復しない仕様上、人力では数十人単位に配るのがせいぜいだ。
{{<tweet 1643984009565982721>}}
{{<twitter user="riq0h" id="1643984009565982721" >}}
そんなわけでたかをくくっていたのだが、案の定制裁らしい制裁はなく、前述の二週間に一度もらえる招待コードの供給が余計に使った枚数分だけ消滅するという、ほどほどに美味しいオチがついて本件は一件落着と相成った。つまり、二十枚くらい使った僕は元々持っていた五枚分を除くと半年間はもらえない計算だが、配りたい人にはだいたい配り終えたので特に悔いはない。聞いた話では五十枚以上配った猛者もいたとか。

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@ -0,0 +1,153 @@
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title: "たとえ光が見えなくても短"
date: 2024-03-01T20:23:06+09:00
draft: true
tags: ['novel']
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今でも思い出に残っているのは、指先に残るわら半紙の感触。言われるままにピンと立てた人差し指を滑らせると、横にいるお父さんが耳元に語りかけてくれる。「そうら、そこがゲオルゲン通りだ。そこを右に曲がると――」私は言葉を遮って大声で答えた。
「レオポルト通りね! おしゃれなお店がいっぱいあるの」
「そうだ、いつかお前もそこで立派なドレスを買ってもらえるようになる」
 耳の奥底からあまりにも聞き慣れすぎた高周波音が徐々に近づいているが、まだ私は喋っている。
「でも、私が着たってしょうがないわ。どうせ分からないもの」
「そんなことはないよ。上物は着るだけで分かるんだ」
 記憶の中の私はいっそう声を張り上げる。
「じゃあ、今、欲しい」
「今は……難しいかな。そういうお店はどこも閉まっている」
「どうして?」
「……みんな、他のことで忙しいんだ。さあ、指がお留守だぞ」
 私の指先がぐんぐんと先に進み、ルートヴィヒ通りを過ぎる頃には高周波音は耳を覆い尽くさんばかりにわめいていた。
「ずっとだ、そう、ずっと、さあ、広場に着いたぞ。どこだか分かるかな?」
 思わず、私は騒音に負けないように大声で叫んだ。
「マリエン広場! 私と同じ名前の――」
<ねえ、マリエン、どうしたの>
「あっ……ごめんなさい、ちょっと、夢を見ていたみたい」
<こんなひどい状況で居眠りなんて、よほど自信があると見ていいのかしら>
 リザちゃんのつっけんどんな声が束の間、私の頭蓋を満たす。
「そういうわけじゃあ――」
<敵、もう、来るわ。また命があったら会いましょう。通信終了>
 ブツ、と両耳に覆いかぶさったカチューシャみたいなインカムがノイズを発して、それきり音が途絶えた。途端に、意識の外に追いやられていた高周波音が舞い戻り、左右に散らばった。漆黒の視界の中に仮初の点描がぽつぽつと描かれはじめる。見たところ、一〇〇機以上はいる。
 相手はまだ私には気づいていない。気づくはずもない。
 空中にぽつんと単機で佇む魔法能力行使者の姿は目視ではもちろんレーダーでも捉えられない。
 私はいつもの調子で右腕から手の先に流れる閃光のイメージを思い描いた。すると、見ることができなくても迸る光の奔流が肩口から腕を伝い、手のひらに集まる様子が感じとれた。うわんうわんと唸りをあげて急接近する群体に手のひらを向けて、孤を描くように光線を放出した。
 決して掛け声を忘れてはならない。言うか言わないかで威力が倍は違う。
「びーっ!」
 きっと、壮大な景色なのだろう。さっきまでの高周波音がたちまち爆発音に取って代わって私の耳元を彩った。味気のない視界の中に、めくるめく幻想世界を想像した。
 今ので半分くらいは撃ち落とせたと思う。私は空気を柔らかく蹴飛ばしてふわりと上昇した。気流が身体の上から下に通り過ぎてスースーする間隔が、実はけっこう気に入っている。
 十分な距離を得た後、今度は鋭角に蹴り出して勢いよく前へと滑空する。ついでに脚に取り付けた革製のホルスターからステッキを取り出しておく。ステッキは指先よりも太く、手のひらよりは細い。だからより指向性を持って魔法を撃ち出すことができる。
 崩壊していく群体の悲痛な音が散乱する一方、まだいくつもの機体が合間をすり抜けていこうとしている音が耳に入った。とりあえず、左に一機、右に二機、まず右に向かってステッキを振る。直後、手からステッキを通って現れた魔法が鞭のようにしなって動き、遠ざかろうとする戦闘機を捉えたのが伝わった。きっと戦闘機は真っ二つに割れただろう。忘れずもう一機も処理していく。
 続いて、左側に取り掛かろうとしたところ、バリバリバリと機銃の音とともにビリビリとオーバースカートの生地が破れる音がした。金属の塊が身体を通り抜けて、魔法の源泉がずるずると抜けていく感覚がした。
 瞬間、とてつもない怒りに私は突き動かされた。
 許せない! 下ろしたてのドレスだったのに!
 空を蹴って身体の向きを変えても、戦闘機のプロペラ音が衰える気配はなかった。あてずっぽうの射撃ではない。確実に私を狙っている。ついに敵方は魔法能力行使者を視認したのだ。
 だが、それほどまでに近づいてくれるのならかえってやりやすい。プロペラが回る高周波音と、機銃の残響と、機体が身体のすぐそばを横切って空気を切り刻む感触が、一つの像を結んで漆黒の視界の中に淡く戦闘機を描き出した。
「そこにいるのね」
 私は像の上めがけて飛んだ。ロングブーツの底が、確かな金属質を捉える。今、自分は戦闘機の上に立っている。
 前方で人の声がした。英語なので、私には意味が分からない。拳銃らしき銃声もする。たぶん私を撃っているのだろう。今の私の身体はきっと穴だらけだ。
 幸いにも銃撃音の角度から操縦手の正確な位置が把握できたので、私はお返しにステッキを握っていない方の手で拳銃を模った。 「ぱん、ぱん」
 がくん、と金属の地面が大きく傾ぎ、前のめりに倒れ込んでいく。
 だが、すでに何十もの機体を落としてるのに、高周波音はどんどんうるさくなる一方だった。うわんうわんと唸る機械の鳴き声が第二陣、第三陣の襲来を容赦なく告げる。
 私は再び手のひらに光の力を収束させた。あたかも騒音を打ち払うように死を招く円弧を作り出す。
 ところが、次の魔法はてんで群体に効果をもたらさなかった。せいぜい五、六程度の不運な機体が魔法の切れ端にぶつかって落ちた程度で、未だ優勢を誇る風切り音が爆発音を切り裂いて私を追い抜いていった。
 視界の中で高速に現れては消える軌跡を追って、懸命にステッキを振りかざす。手応えのなさが私をますます焦られる。
 このままではまた街が空爆される。もう何度も住む家を変えたか分からないのに。
「お願い、お願い」
 一体、誰に祈っているのか――必死に軌跡の後に追いすがってステッキを振り続ける。時々聞こえる少々の爆発音にも、数多のプロペラ音は揺らぐことなく彼方へと消えていく。
「お願いだから、落ちて」
 そんな文字通りの神頼みの声を拾ったのは、リザちゃんだった。
<どいて>
 私はばたばたとはためくスカートを抑えつけながら、ほぼ垂直に降下した。全身が絞られるような圧力に耐えた数秒後、空のどこかでぴたりと静止する。
 直後、頭上で今日一番の大花火が花開いた。形は見えなくても音の大きさがすべてを物語っていた。
「うわあ、リザちゃん、すごい」
 惜しみのない賛辞に、リザちゃんは鼻息一つで答えた。
<ふん、まだ油断するには――>
 ぶつ、と通信が途絶えた。無愛想に通信を切るのは彼女の癖だが、いくらなんでも会話の途中に切ったりはしない。
 漆黒の視界の中で私は急速に答えにたどり着く。
 今度は急上昇に圧力に耐えなければならなかった。あまりにも高速に舞い上がったので、両耳を覆うインカムが外れてしまった。背負っている重くて大きな無線機に跳ね返ってガツン、ガツンと暴れた後、線がちぎれてどこかへと吹き飛んでいった。
「リザちゃん!」
 虚空に向かって叫ぶ。どこに顔を向けても私の目は決して光を映さない。
 しかし、
 神に齎された魔法の力だけが、私に見えないはずのものを見せてくれる。
 漆黒に沈む奥底に、か細い線が見えた。その線はじぐざぐにうねって揺れ動き、私の方へと向かって伸びている。空を飛びながら目で追うと、それは私の背中の無線機と繋がっていた。
 この先に、リザちゃんがいるんだ。
 激しく揺れ動くじぐざぐの線を追いかけて、急旋回、急降下。たどり着いた先はほとんど街の真ん中だった。しきりに爆発音と、炎が燃え盛る音、人々の絶叫がこだまする中で、線の根本を捉えた。
 爆撃で暖まった空気による上昇気流がスカートの裾を激しくたなびかせる。ぐるぐると旋回する線の根本は、明らかに彼女が何者かに追われている状況を推測させた。どういうわけか彼女は一向に魔法を撃とうとはしていない。
 私は接近しながらステッキを振りかざすも――輪郭を捉えきっていない敵にはまず当たらない事実を悟り、やり方を変えることにした。元より、残された魔法能力はもはや心もとない。
 限られた力を足元の推進力に替えて、一気に距離を詰めた。蚊のようにうるさい高周波音が視界に像を描く。まだだ、まだ足りない。もっと正確に見なくちゃ。
 戦闘機は私にお尻を向けているようだった。ステッキに込められた魔法がその先端に光の刃を灯す。まるでサブマリン・サンドイッチを作る時みたいにして、私はその魔法の剣を戦闘機の胴体に深く突き刺してから真横に両断した。
「リザちゃん!」
 崩れ落ちていく戦闘機の輪郭を追うのも程々に、唯一の同僚の名前を繰り返し叫んだ。焼ける街の熱が発する生暖かい風を受けながら、性懲りもなく叫んでいると、下の方でかすかに声が返ってきた。
「ここよ、私は、ここ」
 さっそく私は姿勢を変えて降下する。見たところ、どこかの聖堂の屋根に彼女は落ちていたらしい。着地して声のする方に駆け寄って顔に触れると、すぐにリザちゃんだと分かった。
「ああ、良かった、無事で」
「しくじったわ、私たち」
 街が燃えていた。人々が叫んでいた。悲鳴と怨嗟の声の中にかつての民族の誇りはついぞ見られず、ただ手負いの獣の嘶きと去勢があるばかりだった。
「とにかく、基地に帰らないと」
「そうね、申し訳ないけど――」
 声の調子から薄々分かっていた。触れていた頬から首、首から肩口に撫でていくと、その先がなかった。
「ちなみに、脚もどっかいっちゃった」
「おんぶしていくよ」
 私は背中の無線機をぞんざいに捨てると、代わりに彼女を背負った。残っている方の腕のオーク材からはよく燻られたウインナー・ソーセージみたいな匂いがした。無線連絡は、彼女のインカムを使ってせざるをえない。
「帝国航空艦隊、マリエン・クラッセ、リザ・エルマンノ両名。ただいま帰投します」
 程なくして、管制官から返事があった。
<帰投を認める。再び我々に勝利をもたらす日を願って。ハイル・ヒトラー>
<ハイル・ヒトラー>
 **一九五四年**十一月二〇日、愛するお父さんへ。ミュンヘンは相変わらずひどい状態です。私の身体は穴だらけ、同僚の子もまた手足がもげました。けれど、へっちゃらです。だってどうせすぐに直るし、彼女の手足は木でできていますから。
---
”一九五四年十一月二四日、愛するお父さんへ。昨月の今頃はまだ暖かったのに、このところめっきり冷え込んできました。ブリュッセルのお空模様はいかがでしょうか。本当はすぐにでも空を蹴って会いにいきたいのだけれど、あいにく私は上官の許可なくしては男の人の背丈より高く飛ぶことも許されていません。でも、管制官が仰るには戦争で華々しい勝利をもたらせば、私たちはアーリア民族の英雄として認められて、ようやく自由に過ごせるのだそうです。
 チーン、とタイプライタが鳴り、ハンマーが紙面の端に到達したことを知らせてくれる。一旦、タイピングを止めて手探りで本体のレバーを引っ張り、改行する。
”それにしても、まだ子どもの私が「上官」とか「管制官」とか言って、口にしてみたらずいぶんおかしい話に聞こえるでしょうね。今の私はなんでも帝国航空艦隊所属の中尉なんだそうです。私よりたっぷり一フース半も大柄な兵隊さんたちが、前を歩くとさっと右、左に避けてくれるのが分かります。姿が見えなくても、足音でだいたいどんな背格好なのか分かりますから。”
 チーン。また、音が鳴った。再びレバーを引いて改行する。
”いつか戦争が終わったら、私たちの鉤十字がはためくブリュッセルの空を飛んで、お父さんに会いに行こうと思います。これは内緒の話ですが、私たちがこうして本土で堪えている間にも、他の選り優れた魔法能力行使者たちが海と陸とを飛んでいって、敵の親玉を倒してくれるというのです。そうすればイギリスもアメリカもソ連もみんなすぐに降伏して、私たちの言うことを聞いてくれるでしょう。もしそうなったら、私はお祝いに山ほどのチョコレートを買いたいです。約束された勝利の日まで、どうかお元気で。ハイル・ヒトラー>
「ううむ、もうタイプライタの扱いは私よりうまいな」
 急に背後から声がしたものだから、私はひっくり返りそうになった。他ならぬ声の主が管制官ともなればなおさらだ。
「か、管制官、ですか!? あっ、失礼しました、ハイル――」
 その場で直立しそうになった私の両肩を、彼はむんずと掴んで椅子に押し戻した。
「落ち着きなさい。いいよ、たまたま様子を見に来ただけだ。今回の家は燃えずに済んだようだね」
 管制官の言う通り、今回の空襲では私たちの家は燃えなかった。もう三回も引っ越しを余儀なくされていたので助かった。
「この手紙が私が送り届けてあげよう。いや、しかしそれにしてもうまいな。戦争に勝利したらタイピストになるといい」
 管制官の声はいつも半フィート高いところから聞こえる。機械の留具から紙面をするりと取り出して、感心したふうにうなった。その声はどんなに柔らかい口調でもどこか硬い感触を与える。
「たいぴすと……?」
「人の代わりに文章を打ち込んであげる仕事だ。これなら家の中で働ける。給料もかなり良いと聞いている」
「そうしたら、私に授けられたこの力も使い道がなくなってしまいますね……」
 小さい頃に収容所に連れていかれて、そこで私は国家のために役目を果たすのだと教えられた。毎日、色々な人たちがやってきては、それをまっとうするたびに私の前からいなくなった。みんな、私と同じように目が見えなかったり、耳が聴こえなかったり、体の一部がなかったりした。
 なにもかもが変わった日の後、今までに会った人たちのすべての生命を背負っているのだと教えられたのだった。そして、管制官が上官になった。
「ずいぶん気の長い話ではあるけどな。それまでは休む暇もないよ。ブリュッセルに飛んでいく余裕なんかないほどに」
「いえ、それはほんの冗談ですわ」
 あわてて私が訂正すると管制官は短く笑った。
「まあ、君に飛んでいかれたら実際困るが、ベルギーチョコレートくらいならそのうち用意させるよ」
「本当!? あっ……、失礼しました、どうもありがとうございます」
 ひょい、と浮き上がった踵を瞬時に床にくっつけた。管制官はまた笑った。
「でも、君のお父様に会うのはしばらくお預けかな。勝利は目前とはいえベルギーは未だ前線だからね。ここだってまだ危ない」
「そう……ついこないだ、あんなにやっつけたばかりなのに、どんどん来るんですね」
「敵は多勢だ。ヨーロッパ中が我々を目の敵にしている。思い知らせてやらなければならない」
 落ち着いた管制官の声ににわかに怒気がこもった。私も、お父さんといつまでも会えない辛さを思うと彼と同じくらい敵への怒りがこみあげてきた。
「私が、全部撃ち落とせたらいいのだけれど」
 ぽつり、と前のめりな発言を漏らした私に管制官が告げる。
「早まらなくてもいい。君が下手に力を使いすぎれば、いざという時に失敗してしまうかもしれない」
 ひょっとすると、さっきの男の子に私がしようとしたことも見透かしているのかもしれない。
「ごめんなさい、少し言い過ぎました」
「気にするな。君はよくやっている。敵を殲滅しなければならないのも完全に正しい。だから、ほら、さっそく新しいドレスを仕立てさせた。実はあの後、すぐに発注したんだ」
 はた、として私は前に手を伸ばした。以前も着るたびにうっとりするほどだった生地が、まるでわら半紙に感じられるほどのなめらかな触感が指先から全身に広がった。
「まあ、信じられないわ!」
 ついに私は軍人としての建前を放り出して嬌声をあげ、両手でドレスをむんずと掴んだ。しかし管制官は嗜めることなく「本当は見た目も最高なんだ。我々の軍服と同じ職人に服飾をやらせているからね」と補足した。すかさずぶんぶんと頭を振って応える。
「ううん、いいの。触るだけでこんなにも感激しているのに、繕いまで知ってしまったらこのまま死んでしまうかもしれない」
「おいおい、滅多なこと言わないでくれよ。君は間違いなく我が国でもっとも高価な兵器なんだから」
 すかさず、その場で管制官の助けを借りてドレスを着込んでみた。革の分厚い手袋をはめた手に引かれて鏡の前に立たされた私の視界には、やっぱり漆黒の暗闇しか映っていなかったけれど、世界でもっとも美しいとされる「お姫様」の姿を懸命に描き出そうとした。
「どうかしら、ほら、私には――」
 一回、二回、わざとらしく咳払いをしてから管制官が言う。
「君のお父様にはお見せしない方がいいかもしれないな」
 想定外の感想に私は見えもしないのに、声のする方向へ振り返って口元を曲げた。
「あら、どうして?」
「あまりにも美しすぎるから亡くなってしまうかもしれない」
「そんな――お上手ですね」
「嘘じゃないよ。君だってドレスをじかに目にしただけで死んでしまいそう、と言ったじゃないか。扱うべき者が扱えば効力は倍増される。兵器と一緒だ」
 管制官はひとしきりの賛辞を私に送ると「そろそろ時間だ」と告げ、今日一日はドレスを着たまま楽しんでいていいと許可を与えてくれた。彼が手紙を持って部屋から去った後、私はたまらず床を蹴って宙に浮かんだ。手にはまだチョコレートでいっぱいの紙袋。
 あまりにも軽く薄いオーバースカートの生地がふわりとたなびいた。漆黒の世界でも思い描けば私は部屋に咲く一輪の花だった。
 固い木材の天井に、おでこがこつんと当たった。
 緩やかに空中で漂いながら、私は紙袋からチョコレートを取り出して包装紙を破った。ころころした形の幸せを口に含むと、舌の上にじわりと甘さが広がった。
 リザちゃんが遅い昼食の時間を告げに部屋に来るまで、私はそのままでいた。

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@ -24,14 +24,14 @@ tags: ["diary"]
さて、幼少の頃より息を吸うように触れ続けてきたコンピュータや文芸ならいざ知らず、まったく未知の楽器演奏をいつまで続けられるかはまるで不明である。音楽にしろなんにしろ、個人の趣味が長続きしにくいのは締め切りも終わりも存在しないせいだ。自分の気持ち次第でいつまでも続けられるが、いつだって止めてしまえる。そこで僕は刺激をセルフで調達することにした。DiscordとTwitterに動画を投稿していくのだ。なんだかダイエットの経過記録を公開するのと似てるな。
{{<tweet 1512737165125783553>}}
{{<twitter user="riq0h" id="1512737165125783553" >}}
自身の過去を適宜振り返ることをモチベーションの糧とし、周囲に認知されている事実を以て己の怠惰に発破をかける。それでも止めたくなったらこれはもう仕方がないだろう。どうせ止めるからには「完全に向いていなかった」という確証が欲しい。僕は撤退にもクオリティを求めるタイプの人間だ。そうやって可能性を一つずつ潰していって、最終的に残ったものこそが僕を象徴する。今のところはコンピュータと文芸しかないが、5年後か10年後かには、ひょっとするとバイオリンが加わるかもしれない。あるいは他のなにかが加わっているかもしれない。
なにげにインターネット上に自身の姿を開陳せしめたのは初めてだが、実際にやってみると意外にどうということはなかった。旧来のネチケット(死語)によればインターネットで実名や実像を公表したら最後、たちまちとんでもない災いが降りかかると固く信じられていたが、きっともう常識の方が変わってしまったのだろう。上記のTweetのツリーに動画を順次繋げているが、よく知るお友達がLikeをぽつぽつと付けてくれる以外には特になにも起こっていない。
なにげにインターネット上に自身の姿を開陳せしめたのは初めてだが、実際にやってみると意外にどうということはなかった。旧来のネチケット(死語)によればインターネットで実名や実像を公表したら最後、たちまちとんでもない災いが降りかかると固く信じられていたが、きっともう常識の方が変わってしまったのだろう。上記のtweetのツリーに動画を順次繋げているが、よく知るお友達がLikeをぽつぽつと付けてくれる以外には特になにも起こっていない。
せいぜいフォロワーが150くらいしかいない僕の存在感など良くも悪くもこんなものだ。この取り組みは自意識の調整を行う上でもぼちぼち役に立ったと言える。もっとも、なぜか超きゃわいい18歳JKが映っていたら全然話は変わっていただろうけどな。そこに映っているのはただバイオリンが下手な28歳の野郎に過ぎない。僕が飽きていなければ数年後にバイオリンが少し弾ける三十路の野郎が映る程度の違いしかない。そんなのでも良ければ……まあ、ちょっとは応援していてくれ。
ちなみに中古のバイオリンを秒で落札したと言ったのは嘘だ。本当は6900円で売られていたものをさらに値切った。
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@ -33,7 +33,7 @@ tags: ["food"]
火にかけて3分もするとマキネッタが騒ぎだす。じきにエスプレッソが抽出されはじめるので、予めコンロのスイッチに手を置いておくことをすすめる。僕自身、この記事を書くまでに何度も淹れたが未だ明確な基準は見つけられていない。火を止めるのが早すぎれば抽出不足だし、遅すぎれば沸騰したエスプレッソがあふれ出してコンロを漆黒に染めあげる。他方、成功した場合は下の動画のようにいかにもエスプレッソ然としたクレマができた状態で落ち着く。
{{<tweet 1583667256201838592>}}
{{<twitter user="riq0h" id="1583667256201838592" >}}
あとは温めておいたミルクを加えるなり、泡立てるなりする。ただ加えたならカフェラテ、泡立てればカプチーだ。泡立てるにはミルクフォーマーが必須だが実は100均でも売っている。僕はセリアで買った。エスプレッソとの比率は、3:7あたりが適当とされている。2カップ用のブリッカの抽出量はおおむね70〜80mlなので、必要なミルクの分量はおよそ160〜180ml前後となる。

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@ -17,7 +17,7 @@ tags: ["politics"]
このことから豊田理化学研究所での業務こそが容疑者男性の本職なのは疑いの余地がない。それは産経新聞社も本当は理解していると思われる。なぜなら下記の画像のとおり、同紙の紙面においては豊田理化学研究所フェローとして彼を紹介しているからだ。
{{<tweet 1336074462752468994>}}
{{<twitter user="pkashima" id="1336074462752468994" >}}
つまり産経新聞社はWeb版に限り、**何らかの意図をもって容疑者男性をあえて見出しで日本学術会議会員として報じたことになる。** 他にも、新聞社としては毎日新聞が同様に「学術会議会員逮捕」と後追いで[報じている。](https://mainichi.jp/articles/20201208/ddl/k28/040/263000c "毎日新聞")

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@ -30,10 +30,10 @@ tags: ["diary"]
そして忘れてならないのが揚げ物。残念ながら「蓋を閉めて揚げられる」のが利点ゆえ、肝心の動画は唐揚げが揚がる音しか提供できない。キッチンを自分で掃除しない輩にはいまいちピンと来ないだろうが、揚げ物の油が辺りに飛び散らないのはまことに革命的である。
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かくして僕はテフロンの鍋と完全に決別した。あれはあれでノーメンテで扱える気軽さがあったが、より少ない道具で多くの目的を達成できるようすることが僕の調理スタイルだ。ある意味、マイナポイント事業が最後のひと押しになったと言える。あれこれのたまっても僕の銀行口座なんてとっくに知られているだろうし、健康保険に至ってはどのみち元から国営なので、まあそんなに分の悪い交換条件でもなかったな。
ちなみに、中華鍋以外はこんな感じで収納している。
![](/img/153.jpg)
![](/img/153.jpg)

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@ -20,7 +20,7 @@ tags: ["politics", "essay"]
つまり、今のウクライナは近い将来の台湾の姿と言える。その上、ロシアの場合と異なり中国に経済制裁を課せる国はほとんどない。独立国のウクライナを攻めるよりは、主要国からの国家承認を受けていない台湾を攻める方が、国際秩序的な意味での瑕疵も誠に遺憾ながら小さいと考えられる。いざ台湾有事が起こった暁には、それらは単なる内政問題として扱われるのだろう。
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改憲派であろうと護憲派であろうと、われわれ日本人は台湾有事に際してなにもすることはできない。我が国も台湾を国家承認していない国の一つだからだ。かの自民党とてずっと「一つの中国」を支持してきたし、今後もその方針をいきなり違えるとは思えない。ウクライナの件でわれわれが無力なのと同様、台湾有事にも無力なのはもはや確定している。仮に憲法9条を破棄し、台湾と軍事同盟を結んでも、アメリカの全面支援がなければ戦死者の数が積み増しされる以上の効果はない。
@ -38,4 +38,4 @@ tags: ["politics", "essay"]
一例を挙げると、自由ソフトウェア主義者にして著名なC++プログラマの[江添亮氏](https://twitter.com/EzoeRyou)は予備自衛官である。インターネットでエネルギーを持て余し気味の人たちはぜひ僕と一緒に応募を検討してほしい。ちなみに僕はディズニーランドの[ウエスタンランド・シューティングギャラリー](https://www.tokyodisneyresort.jp/tdl/attraction/detail/157/)で全弾外したことがある男だ。
もっとも、改憲派であろうと護憲派であろうとランニングくらいはしておいた方が良いかもしれない。いざ有事が起こった際に戦うにせよ逃げるにせよ、長く速く走れて得はしても損はしない。事実、戦争への恐怖が僕の足を文字通り駆り立てたのか、昨日のランニングはめちゃくちゃ気合が入った。なんにせよ、どうしても祖国防衛について議論せねばならんと言うのなら、こういう感じで地に足のついた議論をしていきたい。
もっとも、改憲派であろうと護憲派であろうとランニングくらいはしておいた方が良いかもしれない。いざ有事が起こった際に戦うにせよ逃げるにせよ、長く速く走れて得はしても損はしない。事実、戦争への恐怖が僕の足を文字通り駆り立てたのか、昨日のランニングはめちゃくちゃ気合が入った。なんにせよ、どうしても祖国防衛について議論せねばならんと言うのなら、こういう感じで地に足のついた議論をしていきたい。

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@ -0,0 +1,40 @@
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title: "皆さん技術書どう読んでる?"
date: 2024-03-03T15:43:29+09:00
draft: true
tags: ['diary','tech']
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小説や漫画は電子でも技術書は紙、という人はかなり多いんじゃないかと思う。アバウトに書き込めるし、付箋を貼り付けられるし、マーカーも引ける。ぺらぺらとめくって雑に読むこともできる。それくらいタブレットでもできると言われても、システム上の制約があるのとないのとじゃ大違いだ。
しかしその一方で、技術書は重い。でかい。よりによって繰り返し世話になるリファレンス的な本ほどページ数も多い。500ページ超えはざらの世界だ。これではもう「ぺらぺらをめくる」などと悠長なことは言っていられない。どう考えたって検索の方が早い。いわゆる書見台の類もこんなに分厚い本は想定して作られていない場合がほとんどだ。真ん中あたりばかり開くのなら別だけどな。
となれば然らば電子書籍か、と簡単に切り替えられたら苦労はしない。僕はKindle Oasisを持っているが、このサイズで大判の技術書を表示しきるのは厳しい。そもそもe-inkディスプレイはページをいったりきたりする用途には適していない。文字通り紙に近い視認性を持つ素晴らしい電子ペーパーも、めくる速度ときたらあくびが出るほど遅い。
かといって、わざわざ技術書を背負って通勤するのは御免蒙りたい。あるいは、二冊買って職場と家の両方に置くか――それとも、やはり、新たにタブレット端末を買うべきだろうか。一体どうすればいいんだ。ていうか、他の人はどうしているんだ。なあ、皆さん。**技術書、どう読んでる?**
## タブレット端末に投資する選択肢
絵も音楽制作も動画編集もやらない僕にとって、タブレット端末はなにかと手に余る。出先での消費行動は大抵スマホで間に合っている。小説ならKindle Oasisがある。動画はもっとデカいディスプレイで観る。それ以外になにかが必要なら、仕方がなくラップトップを持っていく。
つまり、僕のデジタルライフにおいてタブレットが収まる場所はどこにも存在しない。無理に存在させるならラップトップのポジションを空けるしかない。明らかに一番使っていないからだ。実際、Android端末でも近年は[Xiaomi Pad 6S Pro](https://ascii.jp/elem/000/004/186/4186338/)のように、さもラップトップの代わりに使えそうな機能を備えた製品が出てきている。
今までは使用頻度に拘らずなんとなくラップトップは一台持っておくもの、との認識でいたが、いざ手にしてみるとこれが予想以上に使わない。ただでさえコロナ禍に見舞われていたせいもあるとはいえ、今時は勉強会やカンファレンスもオンライン参加が可能だったりする。
なにしろもともと「カフェで勉強♪」とかいう柄でもなく、デカいディスプレイに加えて自作キーボードにまで凝りだした今となっては、ラップトップ環境になどやむにやまれぬ理由がなければ滅多に用事がない。せっかくメイン環境と同じArch Linuxで揃えているのに、特になにをするのでもなくただ物置に押し込んでいる。
以上の経緯を踏まえると、いっそラップトップの座をタブレット端末に譲るのはぼちぼち理に適っていると考えられる。どのみち使用頻度に低いポジションなら技術書を読むのにしか使わなくても上等だろう。幸いにも僕はけっこうなスペックのVPSを契約しているので、もしどうしても出先で開発がしたくなったらSSHクライアントで接続する手もある。
とりわけこのメソッドの好ましさは任意のキーボードが使えるところだ。ThinkPadのキーボードは数ある中ではずいぶんマシな方だが、それでも納得のいく打ち心地には満たない。そこへいくと、タブレット端末は尊師スタイルと違ってまったく無駄がない。一つのディスプレイに一つのキーボードが自然体で備わっている。
いや、本当にこの案は悪くないな。普段は技術書リーダとして気軽に使って、いざという時はLinux環境完備でベターなキーボードが付いたラップトップに変貌する。うわ、マジでアリすぎてモハメド・アリになってきた。もしかしてもうやってる人とか結構いたりする なんなら出先環境を整備する口実でロープロファイルの上等なキーボードを一台生やしてやってもいい。[Lofree Flow](https://www.lofree.co/ja/pages/lofree-flow)とかが最近はアツいらしいな。
## とりあえず現状は
残念ながら今はタブレットを買う時期が悪い。先に挙げたXiaomi Pad 6S Proは発表されたばかりで当面は発売しない。さらに聞いた話では、Xiaomi Pad 7なる10インチタブレットの新製品も夏頃に出るという。ラップトップの代替としての役割を重視するなら最低12インチ以上は欲しいが、リーダとしての携帯性を優先する場合は10インチの方が望ましい。
他方、過剰な投資を避けて控えめにタブレット環境を試すなら現行機種の[Xiaomi Pad 6](https://www.mi.com/jp/product/xiaomi-pad-6/)も悪くない。11インチはどちらの用途にも対応できそうなサイズ感だ。現時点では5万円前後だが、新機種が出ればきっと値下がりするだろう。どうせゲームはやらないので性能はほどほどで構わない。そういうわけで、現状はこんな感じになった。
![](/img/263.jpg)
とりあえず出先でどうこうする話は一旦棚上げして、自宅の32インチ4Kディスプレイを活用する形にした。Linux環境ではKindle本をまともに閲覧できないため、技術評論社やオライリーなどPDFやEPUBで発売しているところから買っている。なんにせよ電子化を先に進めておけば、タブレット端末を買ってからもそれらが無駄になることはない。

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@ -15,7 +15,7 @@ Amazon Prime Videoにて歴史的ファンタジー大作「ロード・オブ
**■9月6日追記**
どうやら決着がついたようだ。僕は原作の記述に関係なく権利者が認めている限りは、雇用均等と市場原理の観点から有色人種の起用は理に適うとの立場だが、少なくとも原作準拠を振りかざして反対していた人たちは考えを改めなければならないことが確定した。以降の文章は一つの業界論として読んで頂きたい。
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**--追記ここまで--**
@ -49,4 +49,4 @@ Amazon Prime Videoにて歴史的ファンタジー大作「ロード・オブ
以上の説明に対して **「でも俺は有色人種の俳優のキャリアとかどうでもいいし、美しい白人の男女だけ見たい」** と言い返すのは**実は不当ではない。** どんな要望でもそれが消費者全体の相当数を占めれば映画業界は確実に対応する。ビジネスとはそういうものだ。白人を贔屓して出演させてもなんら法律違反ではない。
かくいう僕が語気を強めてここで「黒人エルフ」叩きを叩いているのも、対等な消費者の要望を互いにぶつけあって打ち勝ち、雇用均等をさらに促進させたい”お気持ち”があるからだ。どうせなら僕は色んな人間の演技が観たい。
かくいう僕が語気を強めてここで「黒人エルフ」叩きを叩いているのも、対等な消費者の要望を互いにぶつけあって打ち勝ち、雇用均等をさらに促進させたい”お気持ち”があるからだ。どうせなら僕は色んな人間の演技が観たい。

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