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たとえば、通常のマウスに小ぶりな赤玉を生やした商品群は多機能でもトラックボールの可動域が狭い。親指で操作する前提ゆえに細かい動作は結局マウス頼りになる。これを万能と見るか器用貧乏と見なすかは人それぞれだろう。僕の手には後者に映った。マウスを捨てる決意を固めた者にはそぐわない選択肢だ。
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また、[Expert Mouse](https://www.kensington.com/p/products/electronic-control-solutions/trackball-products/expert-mouse-wireless-trackball-1/)という別の大玉トラックボールもある。こっちにはホイールスクロールのための物理機構が別途備わっている。赤玉の水平回転を自動的にスクロールと判定する仕組みのSlimbladeと比べると一見、親切設計に思えるが、これにも物理機構の可動限界にスクロール速度が束縛される制約が存在する。さらに言えば、部品点数が増えるぶん故障率もわずかに上がると考えられる。
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そこへいくとSlimbladeは振り切っている。この洗練された佇まいを実現する過程で切り捨てられた機構は相当多かったに違いない。そういう思い切りのよいミニマルな仕様が僕の心を捉えないはずがなかった。数あるトラックボール製品の中でSlimbladeに選択肢が収束するまでにさほど長い時間はかからなかった。
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対して、意外に悩まされたのがSlimbladeかSlimblade Proかである。前者は有線のみ、後者は無線にも対応した新型で、価格差は2倍近い。言うまでもなく、大玉トラックボールは机上に深く根を下ろす不動のデヴァイスだ。本体を動かさない製品になぜ無線が必要なのか……? こればかりは展示ブースでは判らない。
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