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Rikuoh Tsujitani 2024-06-18 20:08:40 +09:00
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commit 1ecd77ab52
Signed by: riq0h
GPG key ID: 010F09DEA298C717

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title: "論評「ヒトラーのための虐殺会議」:流血なき血生臭さ"
title: "論評「ヒトラーのための虐殺会議」:流血なき血なまぐささ"
date: 2024-06-18T19:37:24+09:00
draft: false
tags: ['movie']
@ -13,10 +13,10 @@ tags: ['movie']
戦争のさなか多忙を極める彼らが今回招集された理由は、かねてよりヒトラー総統が掲げる「ユダヤ人問題」の「最終的解決」を討議するためだった。風光明媚な景観を湛える邸宅の中、ランチタイムを挟んだ90分の議論でユダヤ民族の絶滅計画が作り上げられたのだ。
## 流血なき血生臭
## 流血なき血なまぐさ
本作は大別すると戦争ものの歴史映画に含まれるが、作中では一発の銃声も響かない。全編が会話シーンで占められているこの作品に戦場は現れず、したがって流血も起こりえない。仕立ての良い軍服や正装に身を包んだ高貴なる男たちの物語だ。
しかしながら、会議中に語られる彼らの仕事ぶりの背後には血生臭さが色濃く漂う。捕虜やユダヤ人の「特別処理」について報告する将校の裏には死体の山が、アーリア民族の財産を守るべく様々な手段を講じたと語る官僚の裏には飢餓と貧困が、まざまざと垣間見える。
しかしながら、会議中に語られる彼らの仕事ぶりの背後には血なまぐささが色濃く漂う。捕虜やユダヤ人の「特別処理」について報告する将校の裏には死体の山が、アーリア民族の財産を守るべく様々な手段を講じたと語る官僚の裏には飢餓と貧困が、まざまざと垣間見える。
視界には机と人とグラスしか映らなくとも、我々は一連の台詞から酸鼻極まる光景を連想できる。時に人間の想像力は生半可な写実を容易に越える。観る人が観れば、鉤十字の旗の下にどす黒く染まった血の海が骸とともにやがて固まり、隆起した血の山脈を築く様子さえ思い浮かぶだろう。