diff --git a/content/post/20世紀生まれのサイボーグ.md b/content/post/20世紀生まれのサイボーグ.md index 8f6485a..14e0bf0 100644 --- a/content/post/20世紀生まれのサイボーグ.md +++ b/content/post/20世紀生まれのサイボーグ.md @@ -11,7 +11,7 @@ tags: ['diary'] そんな手癖が身についたのも8年前に買ったJINSのフレームがやたらと長持ちしすぎているせいである。店で金属部分を曲げ直してもらってもズレるので、パーツ本来の寿命はとっくに摩滅しているに違いない。しかしJINSには真円に近いフレームがほとんどないゆえ換装の機会が一向に訪れず、結果として基幹ハードウェアが過剰な対応を余儀なくされている。なにしろまったくズレていなくても無意識下で発動するほどだ。 -その折、いつものように家計簿をつけていると基幹ハードウェアの中で最大の計算力を備えた装置が言葉を漏らした。当然、この時も中指は自動で眼鏡を押し上げている。なあ、買えばいいんじゃないか、眼鏡。脳裏に自分自身の声が響く。JINSにしっくりくるものがなければZoffでもいいし、他の店でもいい。 +その折、いつものように家計簿をつけていると基幹ハードウェアの中で最大の計算力を備えた装置が言葉を漏らした。当然、この時も中指は自動で眼鏡を押し上げている。なあ、新しいのを買えばいいんじゃないか、眼鏡。脳裏に自分自身の声が響く。JINSにしっくりくるものがなければZoffでもいいし、他の店でもいい。 でも、眼鏡って高いよ。反論するやいなや自分の声が返る。文字通り肌身離さず顔に終始張りつけておくものが高いのは当たり前じゃないのか。確かに……そうだ。なぜか僕には未だ金銭感覚が学生時代から抜けきっていない領域がある。革小物に2万円出せて眼鏡に2万円出せない道理はない。思わず、顔に向かいつつあった中指が止まった。