diff --git a/content/post/キーボードのことだけ考えて眠る.md b/content/post/キーボードのことだけ考えて眠る.md index 0a85c4a..6db3bb5 100644 --- a/content/post/キーボードのことだけ考えて眠る.md +++ b/content/post/キーボードのことだけ考えて眠る.md @@ -17,6 +17,7 @@ Leopold FC660Cはどちらでもないが、中身は東プレ基盤で打ち心 店売りのメカニカルキーボードでは満足できず、HHKBにもRealforceにも適応できなかった僕にとってFC660Cはまごうことなきマスターピースであり続けた。今後もそうだろうと信じていた。今日のキーボード業界が飛躍的な進歩を遂げていると知るまでは……。 + ## ホットスワップ、アルミニウム筐体、ガスケット構造、VIA 僕の知るメカニカルキーボードとは黒赤茶青の機械式スイッチ(軸)が各々存在していて、欲しい軸ごとにキーボードを買わなければならない代物だった。商品展開ははおおむねFILCOのMajestouchシリーズが中心で、他にRazerやSteelSeriesなどのゲーミングデバイスメーカーがぼちぼち作っていた印象が強い。宣伝文句は立派でも数年使うとチャタリングを起こして買い替えになる。音はカチャカチャと鳴ったり鳴らなかったりする。 @@ -36,6 +37,7 @@ Leopold FC660Cはどちらでもないが、中身は東プレ基盤で打ち心 いざ改めて調べてみると、どうやら僕が見ていたカスタムキーボードの世界は万里の長城の一里分にも満たないようだった。なぜなら、僕が初手で組んだキーボードは筐体基盤がKeychron、スイッチもKeychron、キーキャップもKeychronで、とどのつまりヨドバシでも扱われている有名企業の鉄板構成を踏襲したに過ぎない。城の外側には広大な世界が広がっていた。 + ## KBDfan、Kprepublic、プレート、PCB カスタムキーボード愛好家の需要に応えるWebサイトは大量に存在している。無数のWebサイトで無数のキーキャップが売られており、Webサイトの運営元が独自企画した筐体基盤も作られ、どれもが割と早いうちに売り切れて終売していく。小規模な業者ゆえ彼らは在庫を多く持たない。時機を逃せばどんなにすばらしい傑作とて二度と手に入らない。 @@ -45,6 +47,7 @@ Leopold FC660Cはどちらでもないが、中身は東プレ基盤で打ち心 そんな製品群が巷に満ちあふれているものだから、良さそうな条件をすり合わせるだけでも相当な苦労を要する。そもそもなにが「良さそう」なのかさえ情報過多すぎて判断がつかない。だが、なんとしてもこの世界の突端に触れたい。とにかく勉強して理解に努める。冷静に考えるとおかしい話だ。僕はすでに立派なキーボードを手に入れて、すっかり満足しているんじゃなかったのか。 + ## 65%、60%、WK、WKL もっとも慎重に考えるべきはキーボードのレイアウトである。一度それに馴染んだら離脱は容易ではない。かといって、日和って余分なキーを含むレイアウトに妥協してしまえば、使い続けるかぎり自ら付け加えた贅肉をまざまざと見せつけられる人生が待っている。ことあるたび、僕が自身に問うのは矢印キーの必要性だ。 @@ -58,6 +61,7 @@ Leopold FC660Cはどちらでもないが、中身は東プレ基盤で打ち心 ラップトップマシンでの立ち回りも問題だ。たとえコンビネーション前提の入力に慣れても、そこでは逆に矢印キーが余ってしまう。一周回って非効率極まりない、だったら、最初から矢印キーを有効活用する方針で暮らした方が収まりが良さそうじゃないか? ……とはいえ、明確な答えは出せない。どちらを選ぶにしてもまだ選択肢は多い。 + ## 筐体、SAプロファイル、PBT、ABS、スイッチ 見てくれも吟味しなくてはならない。昨日、僕は秋葉原の[遊舎工房](https://yushakobo.jp)に出頭して舐めるように各部品の外観を凝視した。あえて言うと、今使っているKeychron Q2 Proはシルバーグレーの筐体のシルバー感が強すぎる色合いが少々気に入らない。次はもっとマットな質感のもので組みたい。 @@ -77,6 +81,7 @@ Leopold FC660Cはどちらでもないが、中身は東プレ基盤で打ち心 このようにして、永遠の道程にも等しい困難な構想が徐々にまとまりつつある。無数の端と端を繋ぎ合わせて、いつか理想のカスタムキーボードが完成する日が訪れるのだろう。そう、あたかも万里の長城のように。中国本土が旧正月に入るまでにはなんとか発注を済ませたい。 + ## おわりに ここ一週間、キーボードのことだけ考えて眠っている。ひとたび火が付いてしまったからには自然鎮火を待つしかない。さしあたり別々のスイッチで一台ずつ組む予定だが、それで落ち着く保証はない。次から次へと文字通りの新機軸が到来して、矢継ぎ早に技術革新が進んでいくからだ。