diff --git a/content/post/魔法少女の従軍記者.md b/content/post/魔法少女の従軍記者.md index 53906a2..8e8f204 100644 --- a/content/post/魔法少女の従軍記者.md +++ b/content/post/魔法少女の従軍記者.md @@ -329,8 +329,8 @@ tags: ['novel']  彼女は敵の魔法能力者を「彼女」と呼ぶ。どんな人物なのか事前に知らされているに違いないが、さすがに国家機密を尋ねるわけにはいかない。 「そういえばあれからすっかり人間爆弾が来なくなったな」 「きっと私がいるって分かったのよ。むやみに特別な魔法を使ったら疲れるから」 -「そういうものか、君にもあるのかな、特別な魔法とか」 -「ええ、まあね。ずっと練習してきたから。秘密だけど」 +「そういうものか。君にもあるのかな、特別な魔法とか」 +「ええ、とっておきのがね。秘密だけど」  魔法能力者同士の戦闘にはほとんど前例がない。戦力の大量投入、制圧力が物を言う普通の人間の戦争とは別の理屈が働いているのだろう。  宣伝通り、最後の哨戒を終えた彼女は早々に一台分割り当てられた車輌の中に入って寝静まった。取材対象が寝たなら今日は業務終了だ。みんながそうしているようにカメラのスイッチをオフにする。  従軍記者の役得で巡回の義務がなかった私もとっくに寝ていいはずだったが、首都に近づくにつれて様々な思い出が去来して寝るに寝られなかった。やむをえず寝袋から這い出て野営地の外れまで歩いた。歩いているうちに思い出は過去から現在に急速に進んで、町長の言葉が脳裏に蘇った。