diff --git a/content/post/魔法少女の従軍記者.md b/content/post/魔法少女の従軍記者.md index 842794a..c40ccf2 100644 --- a/content/post/魔法少女の従軍記者.md +++ b/content/post/魔法少女の従軍記者.md @@ -375,7 +375,7 @@ tags: ['novel'] --- - 八年前、一つの超大国が引き裂かれた。あるいは、とっくにばらばらだったのかもしれない。二〇二四年に実施された大統領選挙において華々しく復活を果たしたドナルド・J・トランプ第四十七代大統領は、さっそく公約通りに連邦議会の権限を大幅に縮小させる大統領令を下した。これにより彼は議会の承認を得ることなく世界最強の大国を動かす力を手に入れたのだった。 + ある時、一つの超大国が引き裂かれた。二〇二四年に実施された大統領選挙において華々しく復活を果たしたドナルド・J・トランプ第四十七代大統領は、さっそく公約通りに連邦議会の権限を大幅に縮小させる大統領令を下した。これにより彼は議会の承認を得ることなく世界最強の大国を動かす力を手に入れたのだった。  だが、四年後の二〇二八年。絶大な権力を元に行われるはずの改革や刷新はついぞ行われなかった。もっぱら自身にかけられていた容疑の赦免と莫大な借金の免除、癒着企業の救済などに傾注していた彼は、選挙シーズンが来て初めて大統領選挙を廃止していなかったことに気がついた。  まだ数字をいじりたい帳簿が山ほどあったのか、彼は「内敵より国家を守る決断」と称して事実上の独裁を宣言した。直後、生まれたての永世大統領(自称)はホワイトハウスから即刻追い出されてしまう。ワシントンD.C.を挟むバージニア州およびメリーランド州政府が即座に離反を宣言したため、じきに左右から押し迫るであろう州兵を前に居残る決断はできなかったようだ。  実権を取り戻した連邦議会は直ちに満場一致で大統領の罷免を可決、新たな大統領が選出されてワシントンD.C.に首都を置く従来のアメリカ合衆国は原状復帰したかに思われた。ところが、トランプ元大統領はいち早く新体制支持を表明していたテキサス州へと向かい、そこで新たな国家の樹立を主張したのだった。