diff --git a/content/post/test.md b/content/post/test.md index cca9f1a..132386e 100644 --- a/content/post/test.md +++ b/content/post/test.md @@ -5,7 +5,7 @@ draft: true tags: ['diary'] --- -夏コミに向けての同人誌作りがいよいよ始まった。当ブログでもかねてより宣伝している[戦略級魔法少女合同](https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2415767)の特装版を作り、元の2倍の価格で売りつけようというのだ。この計画は本来すでに実現しているはずだったが、様々な困難により今回まで持ち越しになっていた。サークルの学生諸君らが夏休みに入った今、急ピッチで制作が進められている。 +夏コミに向けての同人誌作りがいよいよ始まった。当ブログでもかねてより宣伝している[戦略級魔法少女合同](https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2415767)の特装版を作り、元の2倍の価格で売りつけようというのだ。この計画は本来すでに実現している予定だったが、様々な困難により今回まで持ち越しになっていた。サークルの学生諸君らが夏休みに入った今、急ピッチで制作が進められている。 当日、サークル主催者の東大生君(仮名)と参加者の藝大生君(仮名2)と僕が全員1時間以上遅れて東大駒場キャンパスに集結すると、どこからか謎の電動工具や様々な作りかけの部品、その他道具などが続々とまろび出てきて準備が整った。東大生君が室内で他の作業をしている間、藝大生君と僕は[前回も紹介した](https://riq0h.jp/2024/05/28/204813/)槌音広場で板を切る作業に従事する。 @@ -14,7 +14,7 @@ tags: ['diary'] といっても、2ヶ月前から大きく変わった作業工程について僕はろくすっぽ理解していなかった。なにしろ特装版の詳細を把握しているのは先の2人だけなのだ。僕の仕事は小説が本の中に収まった時点で完全に終わっているし、出来栄えの良し悪しを決める自信はない。ただ、異常な装丁が現に莫大な売上をもたらした事実と、異常な若者がなにか熱心にやろうとしているロマンに期待を寄せて、ただ黙々と小間使いに徹した。 -写真を撮り忘れたが、電動工具ではなくノコギリで木片を切る作業や謎の紙片を切り取って折り曲げる作業などもあった。こういう図画工作っぽいことをするたびに自分のとてつもない要領の悪さ、不器用さを痛感させられる。同じ工作でもラジオなどを組み立てるのとは異なり、どこか拭い難い不確実性が終始ついて回る。あまり精度を求められなかったのが幸いだった。 +写真を撮り忘れたが、電動工具ではなくノコギリで木片を切る作業や謎の紙片を切り取って折り曲げる作業などもあった。こういう図画工作っぽいことをするたびに自分のとてつもない要領の悪さ、不器用さを痛感させられる。同じ工作でもラジオなどを組み立てるのとは異なり、どこか拭い難い不確実性が終始ついて回る。あまり精度を求められなかったのがもっけの幸いだった。 ![](/img/312.jpg) ![](/img/313.jpg) @@ -34,7 +34,7 @@ tags: ['diary'] 東大生君はまごうことなき天才である。学歴の方がただのおまけに感じるほどに――そもそも、初参加では2、3冊さえも売れないとされる過酷な同人誌業界で、異常装丁を武器にいきなり数百冊も売り上げた傑物である。「本は中身次第だろ」などと知ったふうな口を叩いていた僕も説得されて思わず出資したほどだ。しかしながら、その傑出した能力と引き換えに気分の浮き沈みが極めて激しい。 -彼がこうなるのは一度や二度目ではないので我々はすでに状況を受け入れていた。藝大生君と「彼をひとりで家に帰らせるのはやめよう」と奇妙な重要事項を確認した上で、次善策を講じた。まず、東大生君が持ってくるはずのハサミを諦め、カッターナイフで資材を裁断する。次に、本来は総出で行う予定だったコンクリートの流し込み作業を2人で行う。彼との付き合いが長い藝大生君の判断は早かった。両手に道具を持ち、再び槌音広場へと繰り出す。 +彼がこうなるのは一度や二度目ではないので我々はすでに状況を受け入れていた。藝大生君と「彼をひとりで家に帰らせるのはやめよう」と奇妙な重要事項を確認した上で、次善策を講じた。まず、東大生君が持ってくるハサミを諦め、手持ちのカッターナイフで資材を裁断する。次に、本来は全員でやる予定のコンクリートの流し込み作業を2人で行う。彼との付き合いが長い藝大生君の判断は早かった。両手に道具を持ち、再び槌音広場へと繰り出す。 どうか「家に帰らずどこかで買えばいいのに……」とか言わないでほしい。東大駒場キャンパスにおいて、工作に必要な道具を手に入れられる店は東大生協しかない。そしてその生協は平日しか開いていない。選りすぐりの頭脳が結集すると評されているこの大学も、ひとたび休日となると陸の孤島に等しい様相を呈するのである。おまけにコンビニも最寄り駅の反対側でなにげに遠い。